あかつきブログ

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『初期仏教 ブッダの思想をたどる』

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『初期仏教 ブッダの思想をたどる』(岩波新書) 馬場紀寿

 

まだブログを始めたばかりで、今のところほとんどドラマについての記事しか書いてません。

これから少しずつ読んだ本の感想なども書いていきたいと思います。

 

この本は紀元前の仏教を「初期仏教」と定義し、仏典を歴史的文脈に沿って文献学的に正確に読み解き、その思想を明らかにしようという内容でした。

 

まず、古代インドの社会や思想など、仏教が成立するまでの背景が解説されています。

当時の地理や、ヴェーダから見られる思想、六師外道の教義など知らなかったことや、学んだことがあっても忘れていることが多かったです。

何もないところから仏教が急に生まれたわけではありませんし、その時代の様子や人々が何を考えていたのかをもっと学ぶ必要があるなと痛感させられました。

 

僧伽や律について、以前調べてレポートを書いたことがあるのですが、頭の良い方が書くとこんなに分かりやすくなるのだなと思いました。

 

四聖諦、八正道、五蘊など仏教の基礎的な知識について説明されている箇所は、ノートを取って自分がこれらの用語を理解しているか再確認しながら読み進めました。

よく知っているつもりの仏教用語でも、古代インドの思想を背景として説かれているという視点から考えたことはあまりなかったので勉強になりました。

 

五支縁起の流れが「再度の生存へ導く渇望が苦の原因である」と示しているということは改めておさえておきたいポイントだなと思いました。

 

一番興味深く読んだのは、次第説法についての記述です。

仏教は熱心な信者や仏教にコミットしている人だけのものではなく、すべての人に開かれている教えだと思います。

釈尊が世俗で普通に生活している人たちにどのように教えを説いたのか、現代を生きる我々にとって学ぶべき部分ではないでしょうか。

シンガーラ教誡経のことが気になっているので、言及されていて参考になりました。

 

そして、アーリヤ(高貴な者)とはどのような人なのかということが、五章までの内容を受けて最後の第六章に書かれています。

 

勉強になった部分や、興味深く読める部分があったので読んでよかったなと思います。

各章のつながりや流れもしっかりと構成されていますし、仏教についてある程度学んでいる方にとってはわかりやすく読める一冊ではないでしょうか。