【獣になれない私たち 第5話】日本テレビ系列、水曜22時放送
https://www.ntv.co.jp/kemonare/
晶(新垣結衣)と朱里(黒木華)がついに対面。京谷(田中圭)は朱里を残して部屋を出ていくことを決意。恒星(松田龍平)は呉羽(菊地凛子)の結婚相手である橘カイジのことを調べ・・・という話でした。
京谷と恒星の絡み、晶と朱里の絡み、それぞれ緊張感がありました。
やはり恒星は優しいなと思います。
暴力苦手なマスターはいい人ですね。
朱里の背景が描かれるようになって気付きましたが、私自身は朱里に近いなと思います。
朱里の気持ちが一番共感できるような気がします。
そして世の中から一番共感されないだろうなと思います。
「やらないんじゃなくて、できないんだ」ということに世間は気付いてくれません。
だから世の中にアジャストするためには、朝起きることができて普通のことが普通にできる「普通人間」を演じなければなりません。
それを続けているうちに「あれ、私って何だっけ」と分からなくなっていきますし、消耗して疲れ果てていきます。
だから「私だって疲れたくないからここにいるんだし」という気持ちはよくわかります。
「あなたの持ってるいろんなもの、私なんにも持ってない」
このように普通の人の普通の幸せと比べて苦しむのです。
SEチームのリーダー、頼りになる佐久間さん(近藤公園)が転職活動を開始しました。
極めて妥当な判断でしょう。
社長が気付いたのだとすれば、次週以降何か変わるのでしょうか。
「そうだよね、私の贅沢なんだよね」
私が頑張ればみんなは平和なんだよね。わたしが全部背負い込めばいいんだよね。という晶の言葉は刺さるものがあります。
私はどちらかというと晶の様な仕事ができる優しい人に依存してしまう側なので、申しわけないなという思いで見ていました。
京谷の母千春(田中美佐子)の回想シーン、「若狭湾と相模湾は少し似てます」のあたりから泣きそうになりました(泣かなかったですけど。私はなかなか泣けないのです)
「反対側の海はどんな色だろう、あの人が毎日見てる海はどんな海だろう」
「この人と一緒に行く。反対側にある知らない海へ」
「私はかつみさんと一緒にいたい。辛いよりそっちが勝っちゃってんのよ」
千春の一連の台詞は綺麗で素敵だなと思いました。
晶の「愛していれば乗り越えられますか?苦しくても、辛いことが続いても」
という問いに千春は
「もちろん」
と返します。晶に強烈なダメージを与える一言となりました。
「おれさ、ずっと怖かったんだ朱里が死ぬの。でもそれは愛じゃなかった。愛せなくてごめん」
ついに京谷が部屋を出ていきます。
そして京谷から連絡を受けた晶は、「京谷と会うと許してしまうから会いたくない」と京谷の前で恒星と口づけを交わします。
このタイミングでキスか…
視聴者は晶と恒星の仲が進展していくのだろうなと思っていたことでしょう。
しかし、こんなに視聴者が望まない形で進展するとは。
そして居合わせた呉羽の表情。
Twitterで「もしかして呉羽さんも『獣になれない私たち』の『私たち』側なの?」とツイートされている方がいましたが、たしかにそうなのかもしれません。
実は恒星に惚れているのでしょうか。
呉羽が登場するとこのドラマはおもしろくなりますね。
次週期待です!
それにしても堂々巡りです。
どこにも進めません。
行くことも戻ることもできません。
「おとなって悲しいですね」
「苦味も雑味も要らないっすわ」
三郎(一之瀬ワタル)の台詞です。
私もつくづくそう思います。
でも現実は目の前にあるのです。
現実は苦味も雑味も伴ってあるのです。
そこが逃げずに描かれています
どのように話をおさめていくのか、難しいと思いますがこの姿勢を貫いてほしいです。
私は前回このドラマは小説のようだと書きました。
でも、第5話を見て改めて考えてみると、
このドラマは映画なのかもしれない
と思いました。
映像や台詞が綺麗です。
もちろん毎回山場は設定してあり配慮はされていますが、視聴率よりも描きたいことをそのまま流れのまま描いているように思います。
辛いシーンも多いですし、2時間の映画として一気に見ることが出来たら良いのにとも思います。
でも最後までこの密度で描かれていくのであれば、間違いなく「脱落しなくて良かった」と感じることでしょう。
私は2話あたりで見るのをやめるか迷いました。
今後の展開が気になります。
私の満足度7(10段階)