あかつきブログ

仏教、音楽、世の中の出来事、サッカーなどについてあかつきが感じたことをゆるーく書きます(^-^)

昭和元禄落語心中 第5話

昭和元禄落語心中 第5話】NHK、金曜22時

https://www.nhk.or.jp/drama10/rakugo/

 

第5話は、有楽亭を破門された助六(山崎育三郎)と寄り添うみよ吉(大政絢)、そしてなんとか助六に落語を続けてほしい菊比古(岡田将生)の姿が描かれていました。

 

「坊の高座は辛気臭いけど、艶がある。ああやって見るのもいいもんだなあ」

「おれだと思って大事にしろ」

落語を聞きに来ていた助六に対して菊比古は、師匠に頭を下げて戻ってくるように説得を試みます。

しかし助六は大切にしていた「助六」と書かれていた扇子を菊比古に託して去っていきます。

 

「おめぇはもっと堅え女だと思ってたよ」

「あれは菊さん向け。品のいい女なんてあなた苦手でしょ?女なんて求められればいくらでも変われるんだよ」

破門されて打ちひしがれる助六に寄り添うみよ吉。

以前菊比古に「居場所は自分で作るものじゃない?」と励ましていましたが、あの言葉は自分にも向けられたものだったのですね。

人に求められる姿にあわせて、必死に居場所を探しながら生きてきた、みよ吉の抱える大きな寂しさが垣間見えた場面でした。

二人の間に子供ができます。

 

有楽亭の家では女将さんが亡くなりました。

菊比古は師匠(平田満)から思わぬ話を告げられます。

 

「八雲の名前を次ぐ苦労は生半可じゃねえ。名跡の重みをしっかり受けとめきれる度量がいるんだ。あたしにゃ支えきれなかった」

「到底名前に勝てねぇって思い。それが一生ついて回るんだ」

「いい頃合いだからちゃんと話しておこう。私は八代目八雲の名をお前に継がせたいと思ってる」

師匠から八雲を継がせるつもりだと告げられた菊比古ですが、当然助六の幼少からの思いをわかっています。

助六が継ぐべきだと懇願しますが

「おれの目が節穴だっていうのかい?おれはお前のほうが八雲にふさわしいと思った」

と一蹴されてしまいます。

このとき菊比古は、助六が打ちひしがれたまま落語界に戻ろうとしない理由が、自らに八雲の名前を取られるからだと知ったのです。

結局女将さんの顔を見に助六が現れることはありませんでした。

 

菊比古はお栄(酒井美紀)から、みよ吉がお店の金を持ち逃げしたと聞きます。

その夜、菊比古が帰宅すると、部屋の前に助六がいました。

「別れをいいに来た」

みよ吉との間に子供が生まれ、しばらく東京をはなれると告げられます。

「落語はどうするんだい?」

「八雲を継ぐってのはどうするんだい!」

「おめぇさんがなりゃいいじゃないか!」

「おれはずっと坊がうらやましかった。かわいがられて、甘やかされて。何でも師匠にやってもらってよ。おれは所詮野良犬なんだよ。おんなじ弟子なんかじゃねんだよ!離しやがれ!」

感想を挟むのも野暮なやり取りが続きます。

「何をしてもいいよ、けど落語だけはやめるな」

「どうしたらいいか、もうからねぇんだよ」

助六の肩をつかみ泣く菊比古。

しばしの別れが訪れます。

 

助六にとっては八雲の名を継ぐことがすべてだったのですね。

その一心に支えられていたのであって、助六も実は弱さを抱える人間でした。

助六は協会を除名されます。

 

7年後、親子会で師匠は「子別れ」を演じた後倒れてしまいます。

病院で師匠から菊比古にある秘密が告げられるのです。

「おらはもうダメみてぇだ。」

「八雲の名。八代目のことだけが気にかかる。この名前は曰くがありすぎる」

そして、かつて自分が敵わない実力を持つ弟子がいたこと、六代目八雲と親子であるという立場を生かしてその弟子を追い出したこと、その弟子こそ初代助六(初太郎を育てたおじいさん)であったことを語るのです。

「あいつを育てたってじいさんが、助六だ。落語が生き写しですぐにわかったよ」

「因果応報。あいつがおれんとこに来たのも因縁なんだ」

「どんどん呪いみてぇに頭が硬くなる。助六に八雲の名はやらねぇって意地になって、大事な息子の一人を失った。おらぁ、本当に弱い。業の深ぇ人間だ。本当は、お前に八雲を渡すのだって嫌なんだ。みっともねぇと笑うなら笑いやがれ」

師匠は過去の秘密と自分の弱さを菊比古に告白します。

たしかにみっともないかもしれません。

でもその執念が七代目八雲の原動力になっていたのでしょうし、私としては弱さも含めてかっこいいなと思いました。

考えてみれば師匠の人となりがわかる場面はあまり出てこなかったのですが、人に打ち明けられない思いがあったのですね。

そして助六を愛する気持ちもあったのだということがわかりました。

 

「師匠を失った今、助六の落語があたしにはどうしても必要だったのです」

一人になってしまった菊比古は、助六に会うためにみよ吉の故郷へ向かいます。

地獄ではなく四国でしたね。

 

四国のうどん屋で小夏(助六とみよ吉の娘)と出会います。

そして小夏に案内してもらい、助六とみよ吉の家へと向かいます。

 

そして再会を果たすのです。

「お前さん変わらねぇな」

「お前はあいかわらず臭いよ」

 

もう会わないのかなと思って見ていたので二人が再会したのは意外でした。

どうやら次回は悲しい展開になりそうですね。

 

今回は師匠の台詞一つ一つに重みがあって印象に残りました。

芸能の世界で生きていくのはかくも厳しいものなのですね。

 

私の満足度8(10段階)