『東大主席・ハーバード卒NY州弁護士が実践!誰でもできる〈完全独学〉勉強術』(SB新書)山口真由
テレビやラジオなどで山口真由さんの発言を聞いていて、バランスの取れた発言をされる方だなと思い興味を持ちました。
どのような考え方をされているのか気になったので、昨年山口さんの著書『東大主席が教える超速「7回読み」勉強法』という著書を読んだわけです。
私は僧侶をしておりますが、仏教用語自体が思い出せない・覚えられないということが多々あります。
記憶力を鍛えなければという思いが以前からあったので、さっそく仏教書で7回読み勉強法を実践してみました。
結果は・・・イマイチです。
たしかに普通に読むよりは頭に定着するような気もするのですが、時間がかかりますし、普通に読むよりも楽しくないというか読書が苦痛に感じられることがあるのです。
ひょっとしたらやり方が間違っているのかもしれないと思い、より丁寧にやいかたが書かれている本書を手に取ったというわけです。
感想
まず第一印象として、山口さんはすごい人だと思いました。そして、私が山口さんと同じように7回読みを実行するのは厳しいなと感じました。
イチロー選手が生まれ持った才能に加え、幼いころからの凄まじい練習量で一流選手となったのは有名な話です。
誰もがイチロー選手のようになれるとは限りませんが、それだけ練習すれば相当野球が上手くなるだろうなというのは想像できます。
それと同じように、教科書を7回も集中して読めること素晴らしい才能だと思います。
では、私のような凡人が学ぶべき点はないのかと言われると、そんなことはありません。
まず、教科書を読むという勉強法自体が参考になります。
教科書は学ぶべきことができるだけ正確に、偏りなく網羅的に書かれています。
わかりやすい参考書や解説書を読むよりも、かえって近道になる場合があるでしょう。
参考書の場合は筆者の考えが混ざっていたり、取り上げられる項目に偏りもあるからです。
もちろん教科書だって偏りがまったくないとは言えませんけれども。
私は僧侶の方が書かれたわかりやすい仏教書を読むことも多いのですが、あくまでその方自身の味わいでもあることを忘れてはならないと思います。
原典や、より客観的に書かれた仏教書や論文も大切にしたいです。
また、読むということの大切さを感じさせられました。
読むためには、まず「私はこう思う」ということを差し置いて書かれていることをそのまま吸収する必要があります。
つまり相手の主張を正確に汲み取るということです。
そしてこれがなかなか難しいのです。
反論をするにしても、相手の主張ではないものにツッコミを入れてしまっては空振りに終わります。
色眼鏡で見てしまいがちな私とは違い、山口さんの読む姿勢にはまず相手を受けとめようという謙虚さが感じられます。
バランスの取れた発言の裏には、教科書を曲解することなくそのまま読むことを繰り返してきたという背景があるのではないでしょうか。
まずは他者の言い分を聞くことができるからこそ、極論ではない解を導き出すことができるのかもしれません。
僧侶にとって必要な「聞く」ということに通じるものがあると思います。
7回読み勉強法を完璧に再現することは、私には難しいです。
しかし、元々のお経は紙ではなく口伝で伝わってきたものですし、仏教者としてはある程度覚えることも必要かと思います。
本書に従ってまた少しづつ取り組んでみます。
覚える、記憶するという意味ではこの本を思い出しました。
なかなか面白い本なので、よかったらこちらも読んでみてください。