『文化系のためのヒップホップ入門2』(いりぐちアルテス)長谷川町蔵、大和田俊之
Twitterを見てくださっている方はご存知かと思いますが、私はお坊さんです。
音楽が好きなお坊さんは多いなと思います。
ラップ好きな人も多いような気がします。
仏教の勉強をする学校に通っていた際、クラスメイト40人のうちヒップホップ好きが5人いました。
年齢層が20代から60代までいた中で、これはなかなかの割合ではないでしょうか。
理由ははっきりとはわかりませんが、ジメサギが語るようにラップは歌詞の量が多くて「価値観をプレゼンする音楽」だからというのはあるかもしれません。
お経や仏教書など文章に触れる機会は多いですからね。
そして、お坊さんは文化系の人が多いと思いますが、私もパリピとは程遠い典型的な文化系です。
というわけで、本書は私にとっては読まない理由がない本なのです!
本の内容に入る前に、私がヒップホップってかっこいいなと思うきっかけとなった曲を紹介します。
NAS I Can
たしかK DUB SHINEがテレビで紹介していた記憶があります。
最初に好きだなと思ったのはエミネムやキングギドラですが、NASを聴いてこんなかっこいい音楽があるんだと驚きました。
今でも純粋にラップの上手さではNASが一番だと思っています。
それでは本の内容を見ながら、私がその頃どんな曲を聴いていたかなどを振り返っていきたいと思います。
ちなみに私はあくまでにわかですので間違ったことも色々書くと思いますが、そのときはご指摘よろしくお願いいたします。
・Introduction
イントロダクションで興味深いと思ったのは、
「白人のロックファンが、ケンドリックさえ聴いていれば自分は黒人を差別しているわけではないリベラルな音楽リスナーだという免罪符をもらえるから一応聴いてる、みたいな雰囲気もすごく感じてしまうんです」(p5)
という部分です。ケンドリックラマーが素晴らしいのは言うまでもありませんが、ロックメディアでの大々的な取り上げられ方の背景にはそのような空気もあるんですかね。
・第一部 ゼロ年代のヒップホップ
ウェッサイ・イーサイとゼロ年代以降チャートを席巻したサウスとの音楽的な違いはクラーベのリズムだというのはおもしろいですね。
その違いがこの曲にあらわれているそうです。
JAY-Z Big Pimpin' ft. UGK
たしかにジェイZとそのあとに登場するUGKの二人ではトラックに対するアプローチと言うかリズムの捉え方が違いますよね。
当時けっこう聴いてましたが、それぞれフロウが違うなと思ったくらいでリズムの捉え方が違うというのはまったく気付きませんでした。
この辺りの話は前作『文化系のためのヒップホップ入門』を読んで復習したいなと思います。
・2012年のヒップホップ
2012年は私がお坊さんのための学校に通っていた時期で、聴いていた音楽も良く覚えています。この年はケンドリックラマーとエイサップロッキーが登場してきたのが一番大きな話題だったかなと思います。
A$AP ROCKY F**kin' Problems ft. Drake, 2 Chainz, Kendrick Lamar
やはり2人のラップがイケてますね!
ドレイクも好きでよく聴いていましたが、ケンドリックラマーとエイサップロッキーのバースを聴いてこれは新しいなと感じた記憶があります。
あと江南スタイルが流行った年ですね。
クラブ行ったときに繰り返し流れていました。
・2013年のヒップホップ
EDMがめちゃくちゃ流行ってましたね。
私もアヴィーチーとかデヴィットゲッタとかZeddとかよく聴いていました。
ラッパーもEDM的な曲をよく出していましたよね。
Nicki Minaj Starships(2012年の曲)
当時は良いなと思いましたが、今聴くとニッキーミナージュはもっとラップしてる曲のほうがかっこいいなと思います。
私が一番聴いていたEDMはこの曲です。
Zedd Stay The Night ft. Hayley Williams
ラップではないですけど。
ちなみに私はヘイリーウィリアムス大好きです。
最近のポップなパラモアも良いなぁと思います。
ラップの話題で言えば、チャンスザラッパーが出てきたのが一番印象に残っています。
日本でもフリーのミクステ(2010年)で話題になったAKLOが人気を確かなものにしたのがこの時期ですよね。
CDを売るだけではない、新しい時代の売れ方だなぁと思いながら聴いていました。
・2014年のヒップホップ
「エイサップ・ヤムズが14年はヒップホップ史上最悪の年だって言ってるんですね」(p220)
というようにあまり印象に残っている曲や出来事がない気がします。
この曲はわりと聴いてたようなそんなに聴いてないような・・・笑
Ariana Grande Problem ft. Iggy Azalea
でもイギーアゼリアというよりは完全にアリアナちゃん目当てです。
ちなみにこの頃アリアナグランデと付き合っていたフックで囁いているビッグショーンは私の好きなラッパーです。
この頃はヒップホップよりもアンビエントR&Bとかチルウェイブ的なものにハマっていました。
本書に出てくるジェネイアイコやドレイク周辺からデビューした人たちもそうですが、この人もよく聴きました。
SZA Babylon
ケンドリックラマーがフィーチャーされてるバージョンをよく聴いてました。
SZAは去年ブレイクしましたね。
そしてThe Weeknd好きです。
The Weeknd Often
Wicked Gamesを初めて聴いたときめちゃくちゃかっこよくて、こんな音楽やりたいと思ったものです。
この曲もそうですし、今はもうかなりポップになってしまいました。
それでもかっこいいですけど。
・ジャズとヒップホップ
ジャズとヒップホップについて書き始めるとさらに膨大な文量になりそうなので簡単に書きます。
「グラスパー東海岸ヒップホップの美しい伝統を、自分が継承、発展させてやるという意志を持っているんだと思います」(p178)
というのはなるほどと思いました。
バッドバッドノットグッドのほうが最近のラッパーに取り上げられるというのも分かる気がします。
『ブラックレディオ』を聴いたとき、ヒップホップとしての新しさはないかなと感じたので。
(決してグラスパーdisではありません。グラスパーが超一流なのは間違いないと思います。)
バッドバッドノットグッドは去年このライブ動画をよく見ていました。
・あとがきに代えてお届けする深夜のチャット再び
このあとがきがめちゃくちゃおもしろいです。
本文はもちろんおもしろいのですが、2012年から2014年の話です。
あとがきでは、現在進行形の出来事が語られています。
ヒップホップってそのとき流行っている新鮮なものが一番おもしろいなと私は思うのです。
ミーゴス以降の話、トラップ、ポストマローンの話、KOHHやゆるふわギャングが登場してきた背景にはどのようなUSの音楽から影響を受けているのかなど知りたいことがたくさんあるので、なるはやで続編の「3」を出してほしいと思います。
あとKPOPとJPOPの違いなどに関しては、また別で記事を書こうと思っています。
私の感想
というわけで、文化系でJAZZをやっていてヒップホップ好きな私にとっては最高な本ですが、ミュージシャンの名前がいっぱいでてきますし、あまりヒップホップやジャズを知らない方にとっては難しいかもしれません。
でも議論自体がおもしろいので内容だけ追っていても充分楽しめると思います。
そして私が知らないミュージシャンの名前が出てくる割合は、ジャズについての章が一番多かったのでもっとジャズを勉強しようと思いました。
音楽好きには間違いなくおすすめできる一冊です!
せっかくなので私たちがお坊さんの仲間で作っている動画も紹介させていただきます。
勝手に演僧会
この動画でヒップホップの曲を取り上げる日が来るかどうかは分かりませんが、いつかやってみたいなと思っています。
結局最後は宣伝でした(笑)